センタニ湖のカヌーの舳先装飾
アスマット(Asmat)と並んで世界的に知られるプリミティブ・アート（原始美術）の故郷であるセンタニ(Sentani)湖。インドネシア最東端のイリアンジャヤ（パプア・西部ニューギニア）の州都ジャヤプラ西方約45kmに位置するセンタニ湖に暮らす人々は、その昔より生活必需品のすべてを森の木から生み出してきました。湖上家屋もかつてはその杭部分に見事な彫刻が施され、それらは現在、旧宗主国であるオランダの民族博物館で見ることができます。写真は、センタニ湖上の唯一の交通手段であるカヌーの舳先装飾です。およそ半世紀前のものです。水鳥をかたどり、かつてセンタニ地区やフンボルト湾一帯のカヌーに一般的に取り付けられていたものです。現在では、このような舳先装飾を付けたカヌーを見ることは極めて稀です。サイズは、全長が52.5cm、高さ28.5cm、厚み3cm、重さは250グラム。オランダ人は、西部ニューギニア植民地を終える1960年代初めまでに、優れたセンタニ原始美術の大半を本国へ持ち帰ったと言われています。その意味で、この古さのものが残っていたことは奇跡的といっても過言ではありません。
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